流通&IT/グラシス

流通モデル考察

流通業モデル考察:SPAと旧来型②

旧来型の逆襲:低価格でSPAに真っ向勝負

低価格で勝負するとなると、

  • **点線で囲った部分の徹底した効率化
  • **同じ品質レベルの商品を、同じレベルのメーカーに作ってもらって、かつ全品買取

この二つは絶対条件になりそうである。

メーカーは条件次第のはず

メーカーは、現SPA企業と同じ条件以上であれば生産してくれるはずである。少なくともアイテム単位での大量生産が条件になる。この条件が外れない限り、流通側は、それら商品の在庫・物流・販売ができる体制を整えなければならない。


量販チェーン型の挑戦:中途半端か?

大量販売可能な多店舗量販の事例

大量販売が条件となれば量販チェーンが最有力候補になるが、既存の量販チェーンは、全国展開時に大手を含めた卸売業と共に大きくなった歴史があるせいか、図のような二本立て流通になっている場合が多いように見受ける。とてもシンプルとは言い難く、徹底した効率化という条件は実現するのが難しそうである。


機能分化型に光明が:効率化を機能ごとに

機能ごとに専門化して効率化する事例

効率化の常套手段である絞り込み専門化を素直に使うモデルである。物流&在庫管理の切り離し⇒専門業者委託は、3PLというカタチに表れている。企画・開発支援機能は、大手卸売業のリテールサポート機能が一部を担っているが、買っていただくためのサービスの域を超えているかどうかは疑問が残る。


考えてみよう

機能別に考えてみると、

  • **商流については少し乱暴だが、受発注EDIの発展形が整備されていけば効率化の糸口が見えてくるだろう。実際に、流通BMSは取引に関する項目の多くをカバーしている。
  • **物流・在庫管理は、ロジスティックスと呼ぶべきだろう。ECの急激な発展も手伝って、3PL、当日配達など、ここ数年で大幅な変容と効率化が進んでいる。
  • **問題は企画・開発機能だ。業種・業界ごとに大きな差はあるが、この機能が小売業からすべての情報を入手でき、かつメーカーをコントロールできる知識・経験・運用能力があれば、SPAに近いカタチが作れると思われる。

ひとつの私的結論としては、

上記の「企画・開発機能」が、小売・卸・メーカーすべての情報を把握し、SPAコントローラーとして、情報分析~指示を担当する仕組みができれば、SPAに対抗しうると考えている。問題点は、

  • **この機能を、小売・卸、それともそれ以外のどこが担うのか?
  • **情報共有が活発とは言えない業界で、コントローラーに情報集約できるか?
  • **情報共有するためのIT成熟度レベルに達した業界か?

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